地域に根付く在宅医療☆アロー訪問看護ステーション〜谷口さやか代表①〜

インタビュー

大阪府門真市の在宅医療を支えるアロー訪問看護ステーション。
代表である谷口さやかさんにお話を伺いました。
利用者さんや地域への貢献のあり方、看護師や療法士の働き方への想い、訪問看護サービス向上を目指した活動など、包括的に在宅医療を考えられています。
インタビュー第1弾は、地域で果たす役割やこれまでアローが辿ってこられた軌跡についてお聞きしました。

地域にあるべき訪問看護
インタビュアー:本日はお忙しいところ、ありがとうございます。いろいろなお話をお聞きかせいただきたいと思っています。現在の門真市の在宅医療は、かなり充実していると思われますが、アロー訪問看護ステーションが果たしてきた役割は大きいと思います。
まずは、現状の門真市の在宅医療についてお聞かせいただけますか。

谷口代表:確かに門真市はいい形になってきていると思います。医師会の先生方も地域の医療介護連携にとても熱心ですし、訪問看護ステーション同士も互いに協力できているので、何より患者さんにとっていい環境ができていると思いますね。また、アローが積み上げてきたものも少しは地域のお役に立てたのでは、と思っています。

インタビュアー:アロー訪問看護ステーションは地域で色んな取り組みをしてこられたと伺いました。

谷口代表:アロー訪問看護ステーションを立ち上げたのは平成20年の初めだったのですが、その頃地域には医療法人や社会福祉法人設立の訪問看護ばかりでした。それらは病院や特養施設等の法人内で、一部署として機能していました。そんな中、初の単独型で看護師が立ち上げた株式会社、本格的な24時間対応の訪問看護ステーションは特殊な存在でした。
それまで、開業医の先生が訪問看護に依頼するケースはそんなに多くありませんでした。開業医は自分たちが診れる範囲で在宅医療を行っていたわけです。そこでアローは、“かかりつけ医と訪問看護のコラボレーション”を強くPRしました。私たちはどこかの医療機関に属しているわけではない。しかも24時間対応で、まるでクリニックの看護師のように指示を受け、柔軟に患者さんの対応を行いました。夢中で働いているうちに、医師やケアマネさん、病院のソーシャルワーカーさんからも依頼をたくさん頂けるようになりました。

インタビュアー:なるほど。そのままうまく続いていったわけではなかったのですか?



谷口代表:たくさんの先生方から依頼をいただいたんですが、ある時「アロー以外の訪問看護も、もっと機能して欲しい」といった声が上がるようになったんです。
確かにもっともな話ですし、地域の患者さんのためにもたくさんの訪問看護ステーションが多様なサービスを提供できるほうが良い。それなら門真市で、訪問看護サービスの向上や地域医療連携を強化しようということになり、「訪問看護ステーション連絡会」を平成22年に立ち上げました。お陰さまでこの連絡会の活動を通して、ますます医師会の先生方にご支援いただけることになりました。
地域にあるべき訪問看護
インタビュアー:具体的に訪問看護ステーション連絡会ではどのような活動をされているのですか?

谷口代表:心掛けていることは、地域医療の向上を目的に、会員ステーションにとって互いにメリットのある活動をすることです。当初は意見交換会という名目で、医師会と訪問看護ステーション連絡会とで、定期的に情報交換する機会を作りました。お互いの役割や機能について理解を深めたり、相談や提案などもさせて頂きました。
また、立ち上げ当初より多くステーションに加入頂き、勉強や交流の場にもなっています。それだけでなく地域の医療者と介護職種との橋渡しとなるために、ケアマネさんやヘルパーさん向けの勉強会をしたり、その他医療介護連携もさかんに行っています。
このような活動の結果、ステーション同士で患者さんを取り合うのではなく、訪問看護が地域でより身近なものになることで、利用する患者さん自体が増えるようになりました。

インタビュアー:他の地域で医師会・訪問看護がここまで連携の取れているところは少ないと思います。

谷口代表:そうですね。この連絡会が看護師の知識や技術向上のためだけでなく、地域医療を一緒に支えていく同志として、様々な問題に一緒に立ち向かっていることも一つの理由だと思います。我々は互いになくてはならないパートナーになりました。
今では地域医療のために共同して行っている事業もたくさんあります。いつもの連絡会の活動を後押しして下さり、とても心強い存在です。
少しずつ根付いていった仕組み
インタビュアー:ひとつのステーションとしてもアローは精力的に取り組んでおられますよね。

谷口代表:24時間の在宅医療というものを地域に根付かせるためにも、訪問看護はこうあるべきだと、まずは私たちが率先して取り組んでみようと思いました。
先生方とメールでやり取りする習慣がなかった当時、訪問した当日の状況をメールやファックスで随時報告するようにしました。必要ならば褥瘡など表面的に見える問題などは写真付きのメールで送ったりも。
かかりつけ医は通常月2回、重度であっても週1回程度の訪問診療が基本です。この状況を支えるためにはどうしたらいいのかを考えた時、情報を先生方に密に届けることが大事だと考えたんです。また、看護師としてのアセスメントも付け加え、患者さんの状態を先生方が細かく把握できるようにしました。夜間や土日の随時指示にも臨機応変に対応しました。そうすることで少しずつですが、アローと連携すれば「少々重度の患者さんも在宅で診れる」と思ってもらえるようになり、そのうち末期の患者さんも在宅で診ていただけるようになっていったんです。医師が何度も患者宅に出向かわなくても24時間体制で看護師がフォローする、という仕組みが地域に根付いていったと思います。
並行して、アロー内部や連絡会などで地域多職種に向けてターミナルケアの勉強会を行ったり、看護師を研修に行かせたりしてスキルアップを図りました。
その頃は在宅ではほとんど使うことのなかったCVポートや麻薬の取り扱い、心のケアなども、専門の講師を呼んで勉強会をしたこともありました。先生方も積極的に参加していただけたのでとてもありがたかったですね。
訪問看護の役割
インタビュアー:谷口さんご自身、看護師だけでなくケアマネの資格も持っておられますよね。

谷口代表:もう何年も前ですが、ガン末期の患者さんを在宅で看取ることがなかなか進まず、末期の方のケアプランを気軽に受けてくれるケアマネさんも少ししかいない時期がありました。そこで私のケアマネの資格を活かそうと思いました。自ら患者さんの元に出向き、ご本人や家族の意向を聞き、在宅で穏やかに最期まで過ごして頂くというケアプランを作りました。
今でこそ懇意にしてくださる病院からも、当時は「こんな重症の患者さんを在宅でみれるの?」と心配されたこともありましたが、在宅での経過や最期の様子を丁寧にレポートにまとめて報告しているうちに、在宅でも大丈夫だとわかってもらえるようになったんです。
入院中に少し自棄になっておられた、あるガン末期の患者さんを在宅でお世話することになった時に、退院後の生活で“楽しみを忘れない”というプランを作りました。デイサービスで催しに参加したり、好きなものを食べたり、猫の世話をしたり、病院ではできない在宅ならではの楽しみに色々対応していると、ご本人もご家族もとても喜んでくださったんです。その様子を写真入りでレポートにして病院に持って行くと、病棟で担当だった看護師さんから「こんな表情が見られると思わなかった。帰して良かった!」と言っていただけました。看護師はどうしても病気のことに目が行きがちですが、ケアプランに携わることで、在宅ではその人らしく楽しく生活することが大切なんだと改めて実感しました。その視点をアローの看護師たちにも育み、人の心に寄り添える“ホームナース”を目指したいと思っています。

インタビュアー:門真市では、在宅医療は「あったほうがいいもの」から今や「なくてはならないもの」になっています。地域における在宅医療の今後についてお聞かせください。

谷口代表:医療や介護を取り巻く世界では、今二つの大きな流れがあります。一つは国の医療制度の変化のもとでどんどん在宅医療へとシフトしていっていること。もう一つは自宅で幸せに終末期を迎えられる体制づくりが求められていること。このような「家庭の医療」を支えるために訪問看護の役割はもっと大きくなっていくと思います。これからも地域の暮らしと医療をつないでいきたいですね。

インタビュアー:本当にこれからも期待しています。本日はありがとうございました。

【次回は看護師の働き方、訪問看護の魅力についてお聞かせいただきます。】

事業所情報

事業所名 アロー訪問看護ステーション
住所 〒571-0039 大阪府門真市速見町5-11 ワールドライフ’84 101号室
電話番号 06661598010666159801
FAX 06-6615-8396
サービス地域 アロー訪問看護ステーション門真
門真市、守口市、寝屋川市、四条畷市、大東市

アロー訪問看護ステーション枚方
枚方市、交野市、寝屋川市

アロー訪問看護ステーション枚方 サテライト茨木
茨木市、高槻市、摂津市

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