座位保持装置について☆株式会社ピーエーエス〜野村寿子先生②〜

インタビュー

長年、座位保持装置を作り続けてこられた株式会社ピーエーエス。
前回は野村先生にピーエーエスの原点や想いをお伺いしましたが、今回は座位保持装置について、より詳しくお聞かせいただきました。

座位保持装置を変える意味
インタビュアー:先日は野村さんの、そしてピーエーエスについてのお話をお聞かせいただきました。今回は「座位保持装置」というものにフォーカスしてお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

野村先生:よろしくお願いします。

インタビュアー:さっそくですが、座位保持装置は一度作ったら終わりではないと野村さんはおっしゃいますが、どういうことなのでしょうか?

野村先生:たとえば、洋服は成長に合わせて買い換えますよね。座位保持装置もそれと何も変わらないんです。毎日使うものだから、成長して体が大きくなるのに合わせて洋服と同じように修理したり作り直したりすることができる制度になっているんですね。
座位保持装置というのは、障がいのために普通の椅子に座れない人が、座るためのものだと考えられています。ですが私はそれだけではないと思っています。

インタビュアー:座位保持装置の本来の役割は別にあるということですか?

野村先生:私たちセラピストって週に1回40分でプログラムを組んだりするわけですよね。それ以外の時間に自主的なリハビリを提案することはできるんですけど、やっぱり絶対的に時間が足りない。でも座位保持装置はリハビリと同じ効果を生むことができるんです。ただ座るためではなく、体を支えながら動けるようにするために座位保持装置はあるんだと考えています。
リハビリが成長や発達に応じてプログラムを変えるのと同じように、より適切なかたちに変えていくことはとても大事なことなんですよね。

インタビュアー:座位保持装置を換える、修理していくということは行政の許可が要りますよね。

野村先生:ある緊張の強いお子さんに、型取りして座位保持装置を作った事例ですが、最初はご家族や担当セラピストの先生のご希望で倒す方向に可動性をつけるようにしたんです。起き上がるということが考えられなかったんですね。ところが、その4ヶ月後に呼ばれて行ったら、今度は起きるようにして欲しいと。お子さんが座位保持装置のリハビリ効果で、この4ヶ月の間に体を起こすことができるようになったんです。
でも構造上倒す方向に作ってあるものを、起きるようにするにはやっぱり無理がある、修理が必要になるんですね。壊れたからじゃなくて、むしろ座位保持装置が良かったからこそ必要になった修理。そこをきちんと説明することで市も認めてくれました。
多くの方に支えられた今のかたち
インタビュアー:今やピーエーエスの技術は確立されたものだと思いますが、昔から今のようにされていたのですか?

野村先生:今では、採型にかかる時間は30分もかからないのですが、最初の頃はもっと時間がかかっていたんです。オーダーメイドの採型ということで当初は、重心の施設に入所されている緊張が強かったり変形が複雑だったり、重度の方からのご依頼が多かったんです。でも、振り返ってみると、そうした患者さんからご依頼いただけたことが勉強になったんだと思います。
採型ではビーズバッグに体の型を取るわけですけど、その型と身体を交互に触って理解するんです。どういう風にその体が出来上がって、何故つらいのか、というのを自分の中で体現するんですね。自分の最高のものを作るというプライドがありますから、絶対諦めない、絶対妥協しないと決めてやっていました。
当時は本当にそういった想いが先行していたので、採型していると体中から汗がぶわーって吹き出して・・・患者さんが例えば股関節が痛いのだとわかって、自分で体現しながら採型していると、その日の帰りは同じように股関節が痛くなったりしました。
今では、大体の重心の位置はすぐにわかるようになりましたし、患者さんが座った状態で体の状態を把握し、素早く最適なポジションを見つけ出すことができるようになりました。本当に多くの患者さんに成長させていただきましたね。
ものづくりとセラピーの融合
インタビュアー:オーダーメイドをしようと思われたきっかけはなんですか?

野村先生:障がいに関係なく誰でも通える陶芸や絵画の教室がピーエーエスの始まりでした。そういった楽しい活動のための姿勢を考えるようになったんですね。そして一人ひとりの身体の動きに合わせて姿勢の保持に役立つ道具を作るという、オーダーメイドの原点とも言えることをするようになったんです。その時に役立ったのがモノづくりとしての社長の技術と私のセラピストとしての技術だったんです。この技術の融合がピーエーエスでもあるんです。

インタビュアー:とてもやりがいのある仕事だと思いますが、一番の魅力はなんですか?

野村先生:やっぱり喜んでもらえるというのが一番大きいですね。
患者さんやご家族、療法士さんからオッケーを出してもらえるまで、私たちが納得できるまで採型を行います。その採型の段階から、呼吸が変わったり、声を出せないお子さんが声を発するようになったり、いい表情をするようになったりするんですよ。さらに仮合わせ納品に乗るたびに様子が変わってきますし、時間が経つにつれて目に見えて結果が出てくるのが嬉しいですよね。
先ほども少し言いましたが、リハビリって時間数や単位数が決まっているんですね。でも、座位保持装置ならば置いて帰ることができます。たくさんの人にたくさんの時間、私の技術を提供できるし、喜んでもらえる。本当に効果的作業療法士の仕事をしていると思っています。
ノウハウが詰まっているp!nto(ピント)
インタビュアー:「障がいがあってもなくても」という意味では、障がいのない方にも活かせる技術でもあるわけですよね。

野村先生:そうですね。p!ntoなどはこうした技術やノウハウから開発しました。多くの方の採型をさせていただいたおかげで生まれたものですね。姿勢に何らかの問題を抱えている方にはぜひ実感して欲しいです。逆にp!ntoやモールドシートから触れてもらうことで、中にはオーダーメイドの必要性を感じてくれる方も出てくるんじゃないかと思います。たとえば学校用モールドシートにまず座ってもらって、背中の隙間をもう少し埋めたいとか、股の部分を安定させたいとか、個別に要望も生まれてくると思うんです。オーダーメイドは敷居が高いかもしれませんが、p!ntoやp!nto kidsが姿勢を考える入り口になってくれたらいいですね。
いつか作るなら早く作ったほうが・・・
インタビュアー:「オーダーメイド頼むほどでも」とおっしゃる方も中にはいらっしゃいますよね。

野村先生:それはもう色んな方がいらっしゃいます。体に合った最高のものを自己負担でも欲しいとか、逆に負担はなくても手軽なものでいいとか。それぞれのご家族の価値についてはあまり拘らないし、無理におすすめすることもしません。ただ、本当は小さいうちに良いもので体を整えて良い経験を積み重ねているほうが、大きくなってより簡単なものに変えていくことができるかもしれません。いつか作るのなら早く作ったほうがいいと私は考えています。

インタビュアー:小さい頃にそのお子さんに合った座位保持装置を作るメリットは他にもあると野村さんはお考えですよね。

野村先生:そうなんです。上を向いてじっとしているお子さんには、大人の話しかけも上からになりますよね。上を向いていると手を使って何かしようともならない。だけど椅子に座って顔が上がって表情が見えたら、大人の話しかけ方も違うし、刺激も違うし、させてあげることも変わってくるんです。それが首やお腹の筋肉の発達に影響したり、もちろん呼吸の状態も変わります。お尻で支えるポイントがわかれば、それだけで体幹の筋肉の使い方も変わります。そういったことすべて「姿勢が活動の一コマ」ということにつながるんです。

インタビュアー:次回はそのあたりの「お子さんの姿勢と活動性」ということについて詳しくお聞かせいただければと思います。
本日はどうもありがとうございました。

事業所情報

事業所名 株式会社ピーエーエス
住所 〒562-0031 大阪府箕面市小野原東1丁目3-21
電話番号 07272705210727270521
FAX 072-727-0522
サービス地域 関西圏及び福井・愛知・福岡の一部施設

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